インボイス制度が始まり、その登録をしたいけど、申請書の書き方がわからない!内容が難しそうでご自身での作成を諦めていませんか?
申請書の正式名称は適格請求書発行事業者の登録申請書といいますが、実は作成するのは難しくありません。ほとんどの方は6項目の記入だけで完成します。
これから、適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方はもちろん、インボイス制度のメリット・デメリットまで詳しく説明していきます。
読み終わったら、その日のうちに適格請求書発行事業者の登録申請書の作成ができるようになるはずです。
目次
1 適格請求書発行事業者の登録申請書
1-1 インボイス制度とは
1-2 申請書の書き方
1-3 申請書の提出方法
コラム 取引先への対応
2 登録の有無のメリット・デメリット
3 まとめ
1 適格請求書発行事業者の登録申請書
適格請求書発行事業者の登録申請書はインボイス制度に準拠した請求書(適格請求書)を発行するために作成し、提出する申請書です。インボイス制度の内容、申請書の書き方とその提出方法について見ていきましょう。以下、「適格請求書発行事業者の登録」を「インボイス制度の登録」としています。
1-1 インボイス制度とは
インボイス制度とは、適格請求書の保存を要件に支払った消費税の控除を認める制度です。この適格請求書は税務署に適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し登録された事業者しか発行できません。したがって、インボイス制度の開始後は登録をしていない事業者が発行する請求書では、取引先は消費税の控除ができず損をすることになります。なお、インボイス制度の登録をした方は、必ず消費税の申告をする必要(申告義務)があります。
図1-1 インボイス制度の導入前後の比較
インボイス制度について詳しくお知りになりたい方は、「税理士が解説!インボイス制度とは」をご参照ください。
1-2 申請書の書き方
インボイス制度の登録をするための適格請求書発行事業者の登録申請書を見てみましょう。国税庁のHPでダウンロードをすることができます。
図1-2 適格請求書発行事業者の登録申請書
図1-3 同2枚目
(国税庁HPより引用)
項目が多く複雑に見えますが、ほとんどの方は6項目で完成です。早速、書き方について見ていきましょう。なお、下記に該当する免税事業者の個人事業主の方が多いと思いますのでそのケースで説明していきます。
① 開業後2年目以降
② 申請時点で消費税の申告義務がない(免税事業者)
③ インボイス制度の登録がなければ、消費税の申告義務がない(免税事業者)
図1-4 適格請求書発行事業者の登録申請書(書き方)
図1-5 同2枚目(書き方)
① 申請者の情報
申請をする事業者の情報を記入します。
② 提出先
提出先の税務署を記入します。わからない方は、確定申告書の1枚目の左上(図1-6)を参考にしてください。
図1-6 申告書の提出先
(国税庁HPより引用)
③ 申請時点の事業者区分
免税事業者にチェックをつけます。
④ 申請者の氏名
⑤ 課税事業者になる方法
・上段のチェックボックスにチェックをつけます。
・個人番号、生年月日、事業内容を記入します。
・登録希望日を記入します。
(申請日から15日以降 例:登録希望日が令和6年2月1日であれば申請日は令和6年1月17日となります(国税庁))
⑥ 登録要件の確認
外国に住んでいる方、消費税法に違反して罰金以上の刑を受けた方(加算税、延滞税は罰金ではないので該当しません)ではなければ、図1-5のとおり3か所のみ「はい」にチェックをつけます。以上で完成です。
免税事業者の個人事業主の方で、開業後1年目に該当する方もいらっしゃると思います。その開業年からインボイス制度の登録をするケースの書き方は次のとおりです。
③については、原則はその年の1月1日と記入します(その日が、令和5年9月30日以前の場合には、令和5年10月1日と記入します)。
図1-7 適格請求書発行事業者の登録申請書(書き方)
図1-8 同2枚目(書き方)
1-3 申請書の提出方法
作成した適格請求書発行事業者の登録申請書は、税務署(上記②)に提出を行いましょう。免税事業者の方は登録希望日から登録を受けることになります。
なお、申請書の提出から通知までの期間は、国税庁HPで公表されています。令和5年10月20日時点では、書面提出の場合は提出から約1か月となっています。
また、登録が完了すると国税庁HPで登録番号による検索が可能となります。
コラム 取引先への対応
令和5年10月1日からすでにインボイス制度が始まっています。できるだけ早く発行したいところです。しかし、図1-9のとおり通知を受けるまでの期間は登録番号がわからず発行ができません。また、登録日を挟む場合には請求書の対応が必要になります。どのように対応すれば良いでしょうか。
図1-9 インボイス制度の申請・登録・通知の関係
通知を受けるまでの期間は、申請済みであること取引先に伝えて通常の請求書を一時的に発行し、登録番号がわかり次第、適格請求書を発行して差し替えをお願いしましょう。また、登録日を挟む場合には、その前後の取引金額がわかるように記載し請求書の発行をしましょう。
(例:登録日が11月15日の場合 11月1日~11月14日 ××円(うち消費税10% ××円)、11月15日~11月30日 ××円(うち消費税10% ××円)登録番号T××)
2 登録の有無のメリット・デメリット
ここまで、インボイス制度の登録をする方法を説明しましたが、登録する場合としない場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
図2-1 免税事業者のメリットとデメリット
インボイス制度の登録により適格請求書を発行できるため、取引先から値引きの交渉をもちかけられる心配がなくなることはメリットでしょう。一方で、インボイス制度の登録により消費税の申告が必要となり事務負担が増え、また追加で納税が生じる可能性はデメリットになります。
なお、取引先が次に該当する場合には適格請求書を必要としないため、インボイス制度の登録をしなくても問題はありません。ただし、取引先への確認は難しいでしょう。
・一般消費者、消費税の申告をしていない免税事業者
・簡易課税制度または2割特例を適用して消費税を計算する事業者
3 まとめ
今回は「適格請求書発行事業者の登録申請書」について書き出してみました。
「適格請求書発行事業者の登録申請書」はインボイス制度に準拠した請求書(適格請求書)を発行するために作成し、提出する申請書であり、免税事業者のケースでは6項目を記入するだけで完成することがわかりました。ご自身での申請書の作成にチャレンジしてみてください。
最後までお読み頂き有難う御座いました!
複雑怪奇な税制をわかりやすく説明し、また適切な制度の提案を行う。そしてお客様には安心して納税をしていただく。そのような想いを持って日々の業務を行っております。税金や制度について相談したいことが御座いましたらお気軽にお問合せくださいませ。
0コメント